霊咊のビジョン パンチェンラマ九世とチベット大蔵経

令和と霊咊の日本的霊性より (抜粋)

第一章 スメラギの「咊」
天皇陛下と笹目秀和仙人

 笹目先生からは、満州大陸時代の話を多く伺いましたが、中でも私がチベットと縁が深いことで、パンチェンラマ九世やチベット仏教との繋がりのことをお話しくださいました。笹目先生は、戦前戦中にモンゴルの解放運動を行なっていたとき、パンチェンラマと仏縁があり金泥直筆のチベット大蔵経を頂きました。金泥直筆チベット大蔵経は、一般の寺院にある木版刷の大蔵経と違い、一部の高僧か貴族レベルの者しか所有できないほどの貴重で高価なものです。しかしその後、笹目先生はソ連軍の捕虜となってしまい、戦後のどさくさの中でその大蔵経を盗賊に盗まれてしまったのでした。
 笹目先生は、昭和三十二年シベリア捕虜から解放され、日本に帰国されます。奥多摩の洞窟で瞑想していると、パンチェンラマの霊体が現れ、「ワシがお前にやったチベット大蔵経はどうした」と何度も尋ねられます。盗まれたチベット大蔵経のことを長く忘れておられたそうですが、パンチェンラマの霊体から問い正され、びっくりされました。笹目先生が瞑想洞窟から出て、「なんとかせねば」と思案していた時に、チベットのお寺で学び、日本で梵鐘勧進活動をしていた私が尋ねて行ったというタイミングでした。そこで、「林君、是非ともチベット大蔵経を探し出す協力をしてほしい」ということで、笹目先生との交流が始まったのです。
 
 笹目先生はパンチェンラマから、更に「アジアの平和を仏典の読経に依て、業を化(か)しなさい」という霊示を受けます。確かに霊的な視点から見ると、アジアでの五族協和の実現には、古来からブッダの教えである仏教経典を共有し、その教えを理解し実践することこそが、二十一世紀における重要な鍵だと納得できます。