霊咊の公案 8)

令和と霊咊の日本的霊性より
第四章 自由の菩薩と弥勒の世

みのおわりからミロクの世 

 大乗仏教が広がったアジア全土には、弥勒信仰が伝えられています。弥勒信仰には、弥勒菩薩を崇拝し兜率天に転生し、弥勒仏の弟子となって成仏を望む上生信仰と、弥勒仏がこの世に降り立ち衆生の救済を祈る下生信仰があります。弥勒信仰は、ミトラ教の影響ともユダヤ教、キリスト教のマイトレーヤ ( 救世主 ) 信仰の影響を受けたとも言われています。末法の現象が現れるほどに、弥勒信仰は民衆に広がっていき、日本に於いても弥勒信仰は、世が乱れる時代ほど、新たな未来を求める祈りの声となって広がりました。 

 十九世紀末に大本の開祖、出口なおが受けた霊示「大本神諭」の冒頭に、ミロクの世に 向けた時代転換から語られています。 

   三千世界、一度に開く梅の花、艮の金神の世になりたぞよ

     梅で開いて、松で治める、神国の世になりたぞよ

   神が表に現れて、三千世界の天之岩戸開きを致すぞよ 

   用意をなされよ。この世は全然、新つに致して了ふぞよ

   三千世界の大洗濯、大掃除を致して、天下泰平に世を治めて、 

   万古末代つづく神国の世に致すぞよ 

 この霊示には、ミロクの世が現れる前に世界の大変動が起きると、末法の世からミロク の世へのビジョンが示されています。また大本には、次の霊示が示されます。 

    東京で仕組を駿河美濃尾張大和玉芝国々に、神の柱を配り岡山 大本神諭 

    東京の経綸 ( しくみ ) はミノオワリ、尾張の経綸は世の終わり 伊都能売神諭

 これは、古代から日本は世界のひな型であり、世界は日本のひな型であるという霊的世 界観がベースにあります。この視点で日本を見ると、北海道がアメリカ大陸、本州がユー ラシア大陸、四国がオーストラリア、アフリカが九州に相似を成し、日本の形が世界の形 になっていることに気付きます。日本のカルマは、イザナギ、イザナミが乳海攪拌神話で 混沌の海をかき混ぜて、ポトポトと雫になった淡路島 ( オノコロ島 ) から始まり、四国、 九州、本州などの大八洲と日本の形が作られ、六十餘州の国々と成り立ちます。つまり世 界中のカルマが日本に集まるというひな型論は、日本の重要な霊的立ち位置を示しているとも言えます。
世界のカルマには、良いカルマも悪いカルマもありますが、あらゆる世界中のカルマが 集積し、日本にドン詰まってくると言われています。二十一世紀の現代を構成する資本主 義、共産主義、世界情勢、政治システム、経済金融システム、医療システム、貧困社会問 題、食料事情、環境問題など、あらゆる全てのカルマを形作る様々なシステム崩壊が起こり始めています。世界のカルマは、日本のカルマとして凝縮されているのです。 日本を形成する超古代からの様々な善悪全てのカルマが歴史の中で煮詰まり、これらのカルマ、日本の因縁が最後の最後に、全てが美濃尾張に集約されてくると霊示に示されているのです。 

 また、大本の霊的役割を受け継いだ岡本天明の霊示の書、日月神示には、「穢土 ( エド ) の仕組みは美濃尾張」とあります。 

   エドの仕組すみたらオワリの仕組にかからすぞ
   その前に仕組む所あるなれど、今では成就せんから、

   その時は言葉で知らすぞ 宝持ちくさりにして呉れるなよ、猫に小判になりて呉れるなよ
   天地一度に変ると申してあること近づいたぞ、世は持ちきりにはさせんぞよ、 

   「二二八八れ十二ほ ん八れ(富士は晴れ たり日本晴れ)」か ら始まる。

     息吹 ( いぶ ) き払ひて議論 ( ろん ) なくするぞ、ことなくするぞ、 

    物言はれん時来るぞ、臣民見当とれんことと申してあらうが、 

    上の人つらくなるぞ、頑張りて呉れよ 地つ巻 第三十三帖 ( 一七〇 )

 つまり、大本や岡本天明が受けた霊示には、世界のカルマが日本に煮詰まり、日本のカ ルマの凝縮である現代の「江戸 ( 東京 ) の仕組み」が終わると、次には美濃尾張にドン詰まると霊示に示されているのです。この「美濃尾張」の霊的因縁が梅の花のように開くと「ミ ロクの世」が現れることを予言しています。一方で、世界のカルマのドン詰まりである美濃尾張が開かないと、「身の終わり」という言霊で厳しく警告しているのです。 

 確かに、美濃尾張は古代から東西南北の世界のひな型として、幾度かの時代転換の戦いが起こってきました。古代では、近江北朝天智天皇と南朝天武天皇が戦った壬申の乱です。 壬申の乱は、美濃の豪族村国氏が大海人側に付き、東西の要、関ヶ原の不破関を守って近 江朝に勝った歴史があります。後鳥羽上皇と鎌倉幕府が戦った承久の乱もそうです。武家政治に反旗を翻した後鳥羽上皇の勝敗の分かれ目の決戦の場所が、やはり美濃尾張を挟んだ木曽川辺りや墨俣です。そして一番有名な場所は、言わずと知れた天下分け目の関ケ原の合戦です。このように大きな時代が動く土地、末法の世からミロクの世への転換点が、 必ず美濃尾張に凝縮すると、これらの霊示に示されているのです。 

  これが東南海トラフ大地震を予言するものかは解りません。いずれも時代の転換を警告 しているメッセージだと受け取るべきだと思います。世界のカルマ、日本のカルマが凝縮 した終着地の美濃尾張が、身の終わりとなるのか、ミロクの世への発信地となるのかは、 私たちの霊的進化に関わっていると示されています。 

霊咊の公案 9)