生徒 リンポチェの主著である「時間・空間・知識」シリーズについてお話していただきたいと思いますが、この本の前書きの中で、リンボチェは、この本は本自体勝手に書かれたものだとおっしやっていますが、いったいどういう意味なんですか。
リンポチェ もし、時間と空間というものが知識を持っているとしたら、この知識というものは掛け替えのない知識です。この本は、こういった知識の顕現の一つであるということもできますし、あるいは、知識そのものによって書かれたということもできるでしょう。ただ、それが人間の自我が所有し、勝手に使うような知識ではないことを願いますけどね。
このTSK(時間・空間・知識)のヴィジョンの中では部外者というものは存在しません。知識の外に立つものは何もない訳です。これが第一段階の理解です。第二段階になると、知識とは自己との相互作用になります。第三段階になると知識を所有する人はいなくなります。知識は知識の中に生まれるからです。知識というものは、人間の知覚から生まれてくるのでも、特定の知るという行為から生まれてくるものでもありません。もし、そうだとしたら知識は非常に限定的なものになってしまいます。知識は相互作用をしながら知識を生んでいくのです。これが知識の創造であり、また顕現でもあります。時間、空間、知識という三つのテーマの外に立つものは何もありません。つまり、何かを受け入れるとか、拒絶するということは、まったくないのです。